過去ログ - 佐久間まゆ「白くて苦い……」一ノ瀬志希「Love Potion♪」森久保乃々「えっ」
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57: ◆Freege5emM[saga]
2016/06/06(月) 01:53:53.16 ID:a9zWnqM0o


明くる日、もりくぼとまゆさんは再び志希さんのラボを訪れました。

「……まゆちゃんは、プロデューサーに自白しちゃうんだ……それ、本気なの?」

まゆさんが『プロデューサーさんに惚れ薬を盛った』と明かす――
そう告げられた志希さんは、意外そうな顔をしていました。



「それでプロデューサーのまゆちゃんへの気持ちが冷めちゃったら、
 今までみたいに特別扱いで、一生懸命仕事取ってきてくれたり……とか、なくなるかもよ」

まゆさんのプロデューサーさんが、このことを知ったらどうなるのか……
こればっかりは、志希さんも予想がつかないようでした。



「そうなったら悲しいですけど……でも。
『好きな人のためならできることはなんでもする』……それが、まゆのやり方です。
 たとえ、それでプロデューサーさんの気持ちが離れてしまうとしても」

まゆさんは、左手の紅いリボンをさすりながら、そう答えました。



「だから……この惚れ薬も、もう要りません……志希さんに、お返しします」

まゆさんは、志希さんからもらった惚れ薬の小瓶を突き返し、
志希さんはその小瓶をしばらく手のひらに乗せていましたが、
不意にそれを握りしめて、無造作に腕を振りました。

「あはは、志希ちゃんのおクスリ、余計なモノだったんだね」

もりくぼの目には、たまたまその小瓶が描く放物線が見えて、
小瓶は部屋の隅のくず入れに吸い込まれて、カシャンと音を立てて見えなくなりました。



「……まゆは、アイドルになったこと自体は後悔してません
 ……むしろ、あの薬が背中を押してくれたこと、
 あと上京してから志希さんにお世話になったことも、感謝していますが……」

「……それも含めて、余計だったんだよ。
 あの時の志希ちゃんに、今のまゆちゃんと同じぐらいの……」

志希さんは、もりくぼたちからくるりと背を向けました。



「あたし、聞くことは聞いたから……帰っていいよ。じゃあね」



もりくぼは――さんざん人のこと引っ掻き回しておいて、と思って――
声を上げそうになりましたが、まゆさんに止められました。

まゆさんがもりくぼの手を掴んで、黙ってぐいぐいと手を引いていくので、
それに引っ張られるまま、志希さんのラボをあとにしました。




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