過去ログ - 高森藍子「菜々さんへの誕生日プレゼントが思いつかない……」
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26:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:14:46.56 ID:5maGnF/Q0
「……なんで泣きそうな顔してんの?」
「それは――って、私、泣きそうな顔、してました?」
「うん。私が止めなかったら5秒後くらいに泣いてたかな? ってくらいの顔」

1つずつやり取りをしていくうちに頭が冷えていく。一区切りついた後にソファに促され、素直に座ったら「飲み物とってくるねー」と加蓮が立ち去った。
軽快な足取りで給湯室へ向かう後ろ姿をぼうっと眺める。姿が消えたほぼ直後、ひょい、と顔だけ覗かせて「この前のお返しだねっ」とイタズラっぽい声が弾んだ。
ワンテンポ遅れてから加蓮が何を言っているのか理解した藍子は、思わず小さく噴き出していた。
それを見た加蓮は満足気にウィンクして、今度こそ顔も引っ込ませ、瞬きしている間にペットボトルとグラス2つを持ってくる。
オレンジジュースが、とくとくとく、と注がれるのをこれまたぼうっと見て、そうしたら時計の針の音が鮮明に聞こえるようになった。

「加蓮ちゃんは」
「ん?」
「いつも決めるのが早いですよね。……ほらっ、前の打ち上げでファミレスに行った時も、最初に注文を決めていたの、加蓮ちゃんでしたっ」
「だっけ?」
「ずっと悩んでる私に、加蓮ちゃんが助け舟をくれたんですよ。両方頼んで実際に見てから決めるといい、食べない方をPさんが……って。ふふっ。あの時もPさん、困った顔をしちゃってました」
「そんなこともあったねー」

矢継ぎ早だった口調が、徐々に緩やかになっていく。自分の声が自分にも聞こえるようになった。
自覚したのと同時に考えを見計らったように加蓮がしたり顔になり、うん、と大きく頷く。

「よしっ。いつもの藍子に戻ったね」



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