17:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/18(水) 20:02:35.79 ID:UMEp/1BY0
P「……お話は分かりました。仰ることも理解できます。確かに豊富な人生経験というのは、創作活動を行う上でこの上ない武器になることは間違いありません」
P「より良いものを作りたいという気持ち、そしてそのために未知の領域に足を踏み入れる勇気。それは、とても素敵なものだと、私は思います」
肇「…………!」パァ
P「ですが同時に、陶芸の道は己を殺し続ける道である、とも聞きます。今まで蓄えてきた脂肪を落とし、皮を剥いで、肉を削ぎ、骨を剥き出しにするように、己の過去を捨て、思想を捨て、あるがままの己を形にする作業だ、と」
P「又聞きした知識ですので、私にはそれが本当かどうかは分かりません。ですがそれが事実であるとするのならば、貴女はアイドルの道を進んで経験を積み重ねるのではなく、このまま陶芸の道を進んで研鑽を続けることこそが、良いものを作る道ではないのでしょうか」
肇「っ……それは……」
P「何故、アイドルなのですか?」
試すつもりで投げた僕の言葉を聞いて、彼女は言葉に詰まった。
P(……なるほど)
多分、彼女は気付いていないのだ。
自分が本当に求めるもの。
自分が本当にやりたいこと。
それが一体何なのか。
◇
その後、言葉を継げなかった彼女に、他の面接官から差し障りのない質問が投げられ、
同僚P「ありがとうございました」
肇「……ありがとう、ございました」
藤原肇の面接は一応の終わりを見た。
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