過去ログ - 京子「私とあかりはくもの上」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/20(金) 07:45:45.96 ID:nKNVkMal0

やがて私たちは、ふわふわと浮かび上がっていく。

実在するのかさえまだ知らないくもの粒と、おそらく同じように。

動かす手足の感覚も、全くのいつも通り。

ただそれだけに、目に止まる景色が奇妙に映った。



覚えのない姿の花たちに見送りを受けてから、

頻繁に爆発する理科準備室を下目で捉えて、

道路際に平然と佇む電柱を超えて、

校舎の屋上をいとも簡単に跨いでいって、

忙しなく飛ぶ鳩たちに心を奪われて、

私たちの家がどの当たりか探し、気づいてははしゃいで。

線路を行き交う電車や、その向こうの隣町の光景までが輝いていて。



手なんて届かないんじゃないか。

やっぱり文字通りの絵空事だったんじゃないか。

そんなことを思ったりもしたけれど。

夢物語の引き金は、

私たちが見慣れない景色にうっとりしている間にも、

どんどん近く、また近くへと。






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