2:墓堀人[saga]
2016/05/23(月) 10:41:44.64 ID:QQKHlK4R0
『愚行権』という言葉を知ったのは中学生の時だった。
退屈な午後の授業、義務と権利について語る社会の先生が余談として話してくれたあの日の事を、今でもはっきり覚えている。
「客観的に見た時どんなに馬鹿げていて当人が不利益を被るような行為であっても、他人に迷惑をかけたり法を犯さない限りその馬鹿げた事の邪魔をされない自由」
そんな風に先生は説明していたが、ほとんどのクラスメイトはそんな成績の足しにもならない無駄話を軽く聞き流しつつ、黒板に書かれた文字列を書き写したり、ただぼんやりとしているだけだった。
おそらくあの教室で唯一その話を真剣に聞いていた私は、その初めて聞く言葉を「なんて優しい言葉なんだろう」だなんて、ひとりで感動していた。
もちろんこの権利は当人の自己責任が前提であって、「その愚行によって生じたどんな不利益も本人が背負わなければならない」という言葉が枕詞のごとくついて来るのだけど、私には「間違いを冒してもいいんだよ」と優しく言われている気がしたのだ。
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