過去ログ - 【キズナイーバーSS】 「仄かに薄れて消えるる私は」
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21: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 22:13:14.83 ID:8pdSuCqxo

 「ヘーキ。なんでもないから」

 見ないでよ。そんなに綺麗な目で。

 夕日が、私の顔の赤らみを隠してくれることを心から祈った。

 喉が何か液体を求めていた。ごくりと唾をのむ。甘い味がした。甘い、ジュースの味。

 指が震える。しっかり缶をつかんでいようとする。ダメ。ダメ――

 結局指から滑り落ちて――缶が、パシャンと音を立てた。

 勢いで横倒しになり、転がって、甘いジュースがいくらかこぼれて、地面に広がってゆく。

 夕焼けのした、そこだけが土の色をわずかに変える。



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