過去ログ - 【キズナイーバーSS】 「仄かに薄れて消えるる私は」
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50: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/31(火) 23:15:34.14 ID:d4PzBwiUo

 ――私の中の穂乃香は、笑っていた。満面の笑顔だった。

 思い出した。

 私と穂乃香がはじまる前、いつものように、図書室で彼女を観察していたときのことだ。

 そのとき穂乃香は眼鏡の奥の眉だけをかすかに歪めて、表情を消しながらひっそりと何かを描いていた。

 今思えば、当然漫画を描いていたはずだ。図書室なのに、本を読んではいなかった。いつものことだった。

 夕日が彼女の顔を照らす。綺麗な横顔。長いまつ毛。滑らかな鼻筋。表情の薄い顔。



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