過去ログ - 【募集系】平行世界の聖杯戦争【安価】 -SS速報VIP

過去ログ - 【募集系】平行世界の聖杯戦争【安価】

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898: ◆BX96/KwFHU[saga]
2016/09/25(日) 19:46:18.33 ID:IgkxjVrDo
【今日は短く】

　「……悪いが、私には分からないな」

　黒焦げになった二階を綺麗にした後――――三階の、エーブリーの部屋の前でのこと。
　エーブリーは、サッシャから渡された紙を一瞥してから首を横に振った。

　「だいたい、これは本当に文字なのか？　さっと見たところだと……文字というより絵の類に見えるが」

　「……それについては、僕としても予想でしかありませんが……」

　確かに、言われてから今一度見直すと絵のようにも見えないことはない。
　だけど、この記号の並びを見た瞬間、サッシャは直感的にそれを『文字』だと確信した。
　予測の域ではなく、確信。根拠めいたものは何もないが、自信だけは確かにあった。
　エーブリーに言われて少し心持ちが揺らいでいるが、サッシャは、自分の直感を大切にしたいと思った。

　「元々インドの方に住んでいて、バーサーカーの触媒もインドで手に入れました。
　もしかしたら僕はどこかで、この記号を目にしていたのかもしれません。あくまで予想ですが……。
　それで、どこか見覚えがあるのかも……」

　「なるほど。まあ、インドのことは私には分からないから、どうとも言えないが……とにかく、私では力になれそうにないな」

　「いえ、ありがとうございます」

　「それ、今からどうするつもりだ」

　「そうですね、とりあえず図書館の方に行ってみようかと……あっ」

　エーブリーの自分を見る目が、じっとりと変化するのを感じ取るサッシャ。

　「……一応確認しておくが、危険を冒したいから、ではないな？」

　「え、ええ。勿論です」

　「外を出歩くときは細心の注意を払って……」

　「はい。変装などもして」

　「いや、顔が割れているわけではないからそこまでする必要はない。寧ろ、魔術の絡みはできるだけ使わない方がいいだろう。
　魔術を使って隠れれば、極めて勘の冴えたサーヴァント――――高位の魔術師――――
　場合によっては、魔術の至高たるキャスターのサーヴァントなどを相手にする羽目になる。
　だが、魔術を使わなければどこまでいっても一市民だ。周囲に殺気をまき散らしたり、余計なことに首を突っ込んだりしなければ、相手に見つかる心配はない」

　……ユーリエとの接触の件についてはまだ話していなかったのを思い出すサッシャ。
　そうだ。もしかするとユーリエにはサッシャの顔が割れているかもしれないということを、エーブリーは知らないのだ。
　だからといって、サッシャは改めて言う気にもなれなかった。ここでそんな話を出してみろ、間違いなく話が拗れるではないか。

　「ところで、其方の方はどうでしたか？　アサシンの宝具や、その他の情報は……」

　やましい気持ちを誤魔化すように、サッシャは強引に会話の舵を切り替える。

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