10: ◆CuiksL3nE2Uk[sage saga]
2016/05/30(月) 22:55:30.26 ID:K0dvx2PV0
博士「私はある女性を愛してた。その女性に愛を告げたが、振られてしまったのだ」
博士「もうどうでもいいと思った私はふと思った。私を愛さない世界なら滅ぼしてしまおうと」
博士「私を愛してくれる世界に作り変えてやろうと。…その時、私に悪魔がささやいた」
男「それで、こんな馬鹿げた薬を作ることにしたのか」
苦悶の表情で男がたずねた。その姿はやや前かがみになっている。
そうではない、と博士は悲しそうに告げる。
博士「思いついたのは、全人類を彼女――その女性にすることだ」
男「なんだと!」
博士「私の心の傷を治すにはそれしかなかったのだ! 数え切れないほどの彼女からの愛! それが欲しかった!」
博士の目から再び涙が零れ落ちる。
博士「だから私は作ってしまった! かけられた者の遺伝子を煙にのせて飛ばし、その遺伝子により吸った者の身体を作り変える液体…」
男はもはや話を聞いていなかった。
凄まじい動悸で、まともに立っていられなかったからだ。
その姿は少しずつ変化しつつあったが、男に気付く余裕など、もはやない。
ただ、目の前の白衣を着た男が妙に魅力的に見えて…
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