17:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 03:52:15.42 ID:6D4QUdRpo
◇ ◇ ◇
美優と楓が同棲を始めてから1年と少し経つ。
元々、美優は大学を卒業した後、先輩の紹介で大手芸能スタジオに就職し、スタイリスト、メイク担当の下積みとして数年働いたが、熾烈な職場の環境について行けず転職、今は街の小さなアパレルショップに勤務している。
そこは店舗こそあるもののネット通販が主な事業で、頻繁に出社しなくてもある程度仕事ができた。
つまり基本的に自宅勤務であった。
そうして1人暮らしを続けていた美優の元に楓が転がり込んで来たのが、去年の秋頃だった。
美優「……それで楓さんったら、大学卒業してからずっとフラフラしてたんですって。あの人らしいといえばらしいですけど、久しぶりに連絡があったと思ったらいきなり部屋に大荷物抱えてやって来るんだもの。あの時ばかりは私も呆れちゃった」
蘭子「…………」
……午後、なんとなく仕事をする気にもなれず、PCを起動させたまま、美優は蘭子に向かって色々なことを話しかけた。
最初に見た時こそぎょっとしたが、今では不思議と蘭子に親しみを感じていた。
美優の日々は、仕事と楓以外には何も無かった。
親しい友人もおらず、仕事も基本的に一人である。
普段の楽しみと言えば、たまに楓と飲む晩酌や、休日に買い物に出かける事くらいだった。
そんな、どちらかと言えば刺激のない平々凡々な日常に突然やってきた蘭子という存在は、たとえそれが得体の知れないものであっても、美優の寂しさを紛らわすのに十分な興味を抱かせた。
あるいは、いかにも人間らしい存在感を放っていながら、今はまだ動きたくても動けないでいるような人形の孤独な境遇に同情しているのかもしれない。
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