19:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 03:54:22.40 ID:6D4QUdRpo
顧客との販売取引、郵送連絡、仕入れの確認、納期の調整、卸問屋のチェック、その他雑用をこなしていると、いつの間にか夕方になっていた。
凝った体を伸ばしながら蘭子の様子をうかがう。
相変わらずテレビをじっと見ているが、番組はローカルニュースに切り替わっていた。
無意識に揺れる蘭子の瞳にテレビの淡い光がチラチラと反射している。
その横顔はどこか寂しそうだった。
美優(……そういえば、服を着せてあげなきゃ)
蘭子は最初の白いシャツのままだった。
下には楓が昔着ていたスウェットを履かせているが、サイズがまったく合っていない。
このままで何か問題があるわけではない。
しかし、見た目は少なくとも幼い少女である蘭子を、こんな見苦しい格好にしておくのは美優の良心が痛んだ。
それは美優の職業的な感覚によるものかもしれない。
美優はさっそく蘭子に着せる服を考えた。
美優(寸法を測らないと……あれ?)
そして蘭子を起立させられないことに気づく。
仕方ないので、横に寝かせる格好で測ることにした。
けっして軽くない体重の蘭子を美優1人で持ち運ぶのは骨が折れた。
高価なものだから、と余計に気を使ってしまうせいもある。
汗が滲み、息を荒くしながらようやく寸法を取る。
途中、どうして自分がこんな事をしなければならないのかとうんざりすることもあった。
しかしそんな疲れとは裏腹に、心の奥底では久しく感じていなかった高揚感のようなものがふつふつと沸いてくるのも事実だった。
美優「……こういうのも、たまには悪くないかも」
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