26:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 04:00:01.69 ID:6D4QUdRpo
よく考えてみれば、先ほど蘭子が1人で勝手に動いた時も、場合によってはいきなり怪我をしたり頭をぶったりしていたかもしれないのだ。
美優は空恐ろしくなって思わず身震いした。
美優「そう言えば……」
ふと、思いついたことを口にした。
美優「ドールって、寿命とかあるんですか?」
楓「…………」
楓がいきなり黙ったので、美優は何か良くない質問してしまったのかと焦った。
しかし実際には、楓が寿命に関する記述を検索するのに時間がかかっているだけだった。
楓「……あった。えーっと、個体によりますが、平均して人間の寿命の半分くらいだそうです。ということは頑張れば100年くらいは生きていられるんでしょうか」
その昔、医術革命が起こる前の時代では人類の寿命はだいたい80前後だったという話を思い出す。
美優「そんなに長生きするんですか」
楓「…………」
楓はなにやら難しそうな顔をして手元のIDOLを操作している。
天然のオッドアイが画面の文字を細かく追う様はまるで機械の走査を思わせる。
美優は、楓との付き合いは長いものの、彼女を深く知っているという自信は全く無かった。
何を考えているのか分からないような楓の態度と言動は、その裏側にある彼女の本心を隠すための仮面のように思えた。
こうして一緒に暮らしていても、自分が見ているのは楓というパーソナリティのほんの一端だけなのではないかと思う事が少なくなかった。
しかし、だからこそ彼女と一緒に居るのが楽しいと感じるのだ。
美優は楓の笑顔も好きだったが、こうして難しい事を考えているような真剣な表情もまた好きだった。
しばらく二人は無言だった。……
197Res/206.41 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。