過去ログ - 楓「命短しススメよ乙女」
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54:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:42:57.69 ID:6D4QUdRpo
実際、食事をする必要はないのだが、だからと言って食べる機能が無いわけではない。

蘭子に自我が芽生え始め、意思を持つのがはっきりしてくると、楓たちは蘭子を放っておいて2人だけで食べるのが心苦しくなった。

基本的にドールは人間の真似をしたがるのだ。
だから、蘭子が食卓にある残り物のおかずを食べようとしているのを目撃した時、美優も楓もそれを止めさせようとはしなかった。
それどころか、たどたどしく箸を握るのを見かねてスプーンを用意してあげたほどだった。
蘭子は見よう見まねで一生懸命スプーンをすくった。
料理のほとんどは口元からポロポロとこぼれ落ちたが、蘭子は美味しそうに食べるのだった。

それから美優は3人分の料理を作るようになった。
台所には食器が増え、洗面台には歯ブラシが一つ追加された。

蘭子は汗をかかず、体臭も無かったが、だからと言ってその体を清潔にしておくために一枚の濡れタオルだけで済ますようなことは美優も楓も賛成しなかった。
いつしかバスルームは賑やかな時間をすごす場所になっていた。

結局、そうなってしまうのである。


楓「美味しい?」

蘭子「うん!」

口の周りがソースでベタベタである。
この14歳が本当の14歳になるまで、あとどれくらいかかるのだろうと楓は思った。
そしていつかは、本当の14歳を過ぎて成長していくことも……
楓が以前、ドールの寿命に関して調べようとしたのはこの事だった。
蘭子が死ぬ、あるいは動かなくなってしまうまでに、その精神はどこまで成熟するのだろう。
人形における死とはどんな状態なのだろう。

そんな事を考えながら、楓は蘭子の口の周りを拭いてやるのだった。


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