86:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 00:37:25.66 ID:49W9hqJ1o
少女に従って中に踏み入ると、2人は狐につままれたような気持ちになった。
確かに迷宮なのである。
通路の突き当たりを曲って歩くとまた別の通路に突き当たり、自分たちが今この建物のどこに居るかも分からない。
橘「お客様はどちらもご来店は初めてですか?」
美優「は、はい」
橘「それなら説明しておきましょう。この本屋は日々刻々と変化する迷路のような構造をしています。そのメカニズムは店長も完全に把握しきれていないので、たまにこうやって迷子になるお客様がいるんです」
美優「???」
橘「そういったお客様や、あるいは特定の本を探しているというお客様を案内するために、私がいるわけです」
楓「ということは、橘さんは迷路の構造は知っているんじゃないですか?」
橘「普段は基本的にどこでも案内できます。ただ、稀に本たちが本格的に動く時期があり、そうなると私でもほとんど全容を把握できません」
楓「本だけに、本格的……ふふっ」
美優「笑ってる場合じゃないですよ! つまり今がその時期ってことなんですよね?」
橘「そういうことです。実はさっき、私もようやく出口に辿り着いたところだったんです。それなのに……」
と言った所で、少女が「あっ」と思い出したように声を上げて立ち止まったので、楓と美優は危うくぶつかりそうになった。
橘「臨時休業の看板を出すのを忘れてました。イベントの案内板も……」
物凄く落ち込んでいる。
楓と美優はなんだか悪い事をしてしまったような気分だった。
美優「ごめんなさい、忙しい時に邪魔しちゃって」
橘「お気になさらないでください。まあこうなってしまった以上、犠牲者が増えないことを祈るばかりです……」
疲れたように言うのだった。
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