過去ログ - 留美「恋して、もっと恋をして」
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2:名無しNIPPER
2016/05/31(火) 17:39:47.84 ID:wzfXcCnw0

ブンッ バン

ブンッ バン



……当たらない。



衝撃音はさっきから、後ろの壁に当たる音ばかり。



都内某所、バッティングセンター。

ここに来るのも久しぶりだ。



まだ秘書仕事に従事していた頃、

ストレスが溜まると、一人でこっそり足を運んでいた場所。

行く頻度が高いのは良くない兆候。

そんなバロメーターを振り切って、

最終的に、毎週行くようになっていたのだから笑えない。



まあそんな時代を経て今があると思えば、幸せなのかもしれないけれど。



ブンッ バン



課題は解決するもの、仕事の結果は残すもの。

疑問は多面的に解明し、次のプロセスに進む。

常々そう思っていた秘書時代の日々にも、

バッティングだけは上達することがなかった。



たぶん、上達する気もなくて。



理由を言葉にするのは難しいけれど、

たぶんそれは、私の唯一の、息の抜きどころだったからかもしれない。

必死になっちゃいけない。

ありのままでいい。

対策を研究するとか、

誰かにイチから教わるとか、

そんなことは必要なくて。



頑張らないままで、でもめいっぱいバットを振って。

それが妙な楽しさだったから。



ガツッ



たまにこうして、鈍い音をたててボールが前に転がる。

それでも私には十分楽しいのだ。




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