1: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/03(金) 02:42:49.54 ID:+yBbj9OeO
外はサクッ、中はふんわり――
こんがり焼きあがった生地に、網目のような線がすーっと引かれたその食べ物。まるでメロンのような見た目だ。
一口食べれば、中にこもった熱がほわっと解放されて、私の口いっぱいにあたたかな空気が満ち満ちていく。
ああ、甘い。すごくおいしい。
撮影の合間にメロンパンを頬張るひとときは、私にとって安らぎ以外の何物でもない。
子役としての仕事に追われる日々の中で、気を緩めることのできる数少ない瞬間だった。
いつも食べられるわけじゃないけれど、たまに焼きたてのメロンパンにありつける時があって。私の冷たい時間を、少しだけでも温めてくれていた。
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2: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/03(金) 02:43:46.38 ID:+yBbj9OeO
「……はむっ」
……苦しいのは、嫌。辛いのも、嫌。
だから……苦いものや辛いものより、甘いものを自然と求めてしまうのかな。
3: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/03(金) 02:44:12.46 ID:+yBbj9OeO
――そんな、過去の記憶のひとかけら。
4: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/03(金) 02:44:58.02 ID:+yBbj9OeO
それは、ある日の昼下がりのことだった。
「むぅ〜〜」
5: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/03(金) 02:46:22.84 ID:+yBbj9OeO
「どうかしたのか?」
「……これです」
つい、と泰葉の左手が指さした先にあったのは……先ほど俺がコンビニで買ってきた、菓子パン入りの袋だった。
6: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/03(金) 02:47:47.62 ID:+yBbj9OeO
「……じゃ、邪道?」
「はい」
「なんで」
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