過去ログ - 花陽「カリスマ」
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30:名無しNIPPER[saga]
2016/06/03(金) 23:54:44.65 ID:UvARFro70
 現三年生である三人の誰も、残念ながら“カリスマ”にはなれませんでした。私たちの仲に“絶対”は無いのです。そのため私は部長、凛ちゃんはリーダー、真姫ちゃんは生徒会長をそれぞれ分担して務めることにしました。並列に繋がった三つの意志は、誰が欠けてもその体を成しません。その代わり、誰か一人が転んでも、残りの二人が必ず助け起こします。軸が折れれば止まってしまう独楽ではなく、絡み合った一つの生命体として、私たちは決して倒れず諦めず、走り続けられるのです。

「ねぇかよちん、ほら、隣の棟。見回り始まってないかにゃー?」

 懐中電灯のものと思しき明かりが、最上階にある一番端の教室から順に巡っているみたいです。ここには卒業生も一人混じっているので、さすがに芳しい状況ではありません。


31:名無しNIPPER[saga]
2016/06/03(金) 23:57:11.00 ID:UvARFro70
「あぁそうだ、ちょっと真姫こっち来なさい。次は凛ね。短く済ませるから」

 閃いたふうのにこちゃんは、真姫ちゃんに耳打ちをしています。一拍置くと、凛ちゃんにも何やら囁き始めました。

「よっし。それじゃ先生に捕まる前においとましちゃいましょ。真姫、凛、出るわよー。花陽は部室の鍵閉め頼むわね」
以下略



32:名無しNIPPER[saga]
2016/06/04(土) 00:00:18.56 ID:hlhV/7mM0
「ねぇ、凛ちゃん、真姫ちゃん。さっきにこちゃんからなんて言われたの?」

 上履きをしまいながら堪らなくなった私は、思い切って本人たちに訊いてみました。するとどういう了見か、二人ともにわかに言葉を濁しながら戸惑い始めるではありませんか。恥ずかしがっているようにも見受けられます。目の前で可愛らしい姿が拝めるのは大変良いことですが、立て続けに質問するのも憚られますし、それに、そんな時間も残っていません。履物を脱いだばかりのタイツ越し、足の裏へと触れる冷たいリノリウムが、すぐに帰れと急かしているみたいです。仕方が無いのでにこちゃんの元へと合流すると、察したにこちゃんは意地悪な笑みで私に告げるのです。

「いいかしら花陽。女の子は秘密でお化粧するの。知ってもらうことは大事よ? でもね、知られちゃイケナイこともあったりすると、もっともっと魅力的になるのよ。分かる?」


33:ID変わりましたが>>1です。[saga]
2016/06/04(土) 00:03:32.83 ID:hlhV/7mM0
 アイドルモードで小さくウインク。……やっぱり、にこちゃんには敵わないや。
 さっきにこちゃんは部室で、何を残せたか、って言っていたけれど、問われるまでもなくちゃんと伝わっているんですよ?

 私たちは、諦めない。

以下略



34:ID変わりましたが>>1です。[saga]
2016/06/04(土) 00:06:26.74 ID:hlhV/7mM0
「にゃっ!? 一個あっちの角で明かりが曲がったにゃぁ! 早くしないと見つかっちゃうよぉ!」

「ああもう凛、静かにって言ってるでしょ! 職員玄関には誰も……いないわね」

「花陽、鞄持っててあげるから靴履きなさい」
以下略



35:名無しNIPPER[saga]
2016/06/04(土) 00:09:11.24 ID:hlhV/7mM0
「大丈夫、今行くね」

 にこちゃんの手を取らず、並んで靴を履く。
 これまで出会った、たくさんの奇跡にありがとう。
 これから残す、たくさんの軌跡に宜しくね。
以下略



36:名無しNIPPER[saga]
2016/06/04(土) 00:10:11.51 ID:hlhV/7mM0

おしまい♪


37:名無しNIPPER[sage]
2016/06/04(土) 00:51:06.96 ID:YlmKX0FS0
おつ


38:名無しNIPPER[sage]
2016/06/04(土) 06:44:56.79 ID:bJcmUwySO
かよちんかわいい


39:名無しNIPPER[sage]
2016/06/05(日) 18:48:27.45 ID:WGAZgzeSo

沁みるね


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