過去ログ - 佐藤心「いつもと少し違う朝」
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1: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/12(日) 23:41:20.78 ID:hpC5cubuO
「………ん」

重い瞼をゆっくり開くと、見慣れたアパートの一室の白い天井。
その日の目覚めは、外でワンワン吠えている犬の鳴き声とともに始まった。

「んぅ……うるさいなぁ」

右腕を布団から出して、ふらふらとあちこちさまよわせる。
こちん、と固形物にぶつかった感触があったので、つかんでこちらに引き寄せる。


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2: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/12(日) 23:42:58.54 ID:hpC5cubuO
「まだ5時半じゃん……バカ犬めぇ」

当たり前だけど、目覚まし時計のスイッチを切ってもワンワンとうるさいアラームは消えない。
また向かいの家のおばさんが、自慢のゴールデンレトリバーを朝の散歩に連れ出しているんだろう。あの犬はやたらと周りのモノに吠えまくる。私に会うと一段とよく吠える。

以下略



3: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/12(日) 23:44:34.49 ID:hpC5cubuO
「仕事……仕事かあ……」

頭のてっぺんあたりで妙な感触があるから触ってみたら、案の定寝癖がひどいことになっていた。
ぽんぽんと髪の撥ね具合を確かめて、寝ぼけ眼をこすりながら、働かない頭でぼんやり物思いにふける。

以下略



4: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/12(日) 23:45:46.14 ID:hpC5cubuO
どうしてだろう――そんなことを考えながら、枕もとに置いてあったスマホを手に取る。
ホームボタンを押すと、メールが一件、寝ている間に入っていたことに気づいた。

『夜中にごめん! 最近忙しくてさ、こんな時間にしかメール送れなかったんだ』

以下略



5: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/12(日) 23:47:12.32 ID:hpC5cubuO
『みんな仕事も家の場所もバラバラで、一度に集まるのは難しいんだけどさ……どうしても、あんたの快挙をお祝いしたいって!』

「あ………」

快挙。
以下略



6: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/12(日) 23:48:39.89 ID:hpC5cubuO
「アイドルシュガーハートも、思えば遠くまできたもんだ」

アイドルという言葉の持つ意味が変わったように感じられるのは、きっと選挙の結果が影響しているんだと思う。
ただがむしゃらに、上を見てひたすらガンガン走っていた自分……その立ち位置が、確かに変わったから。
そりゃあ、まだ上には何人もいるけどさ。それでも、自分が本当に『駆け出しアイドル』から『アイドル!』になった感じがして。
以下略



7: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/12(日) 23:49:46.85 ID:hpC5cubuO
「とりあえず、頑張らないとね」

いつの間にか、眠気はどこかに吹き飛んでいた。
立ち上がってカーテンを勢いよく開き、朝日をこの目でしっかりと拝む。

以下略



8: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/12(日) 23:50:56.94 ID:hpC5cubuO
「おはよーございまーす☆」

いつも通りに時間に事務所の自動ドアをくぐり、すれ違う事務員やアイドル仲間に元気よくあいさつ。
そのまま、根城であるいつもの部屋へ……行く前に、化粧室へ。

以下略



9: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/12(日) 23:52:09.88 ID:hpC5cubuO
「今日もスウィーティー♪」

戦闘態勢、準備オッケー。
化粧室をあとにして、彼の待っているであろう場所へ足取り軽く進んでいく。
そろそろ大きな仕事が取れそうだってつぶやいてたけど、あれがどうなったのかすごく気になる。
以下略



10: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/06/12(日) 23:53:36.60 ID:hpC5cubuO
「……でも」

負けるつもりは、さらさらない。
もともと不器用な人間だ。自分を変えようとしたって、簡単に変えられるわけがない。
だったらもう、イケるところまでガーッといくしかない。
以下略



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