過去ログ - 主人公「学校一週間休んだら世界がゾンビで溢れてた」【たまに安価】
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54:名無しNIPPER[saga]
2016/06/14(火) 21:51:06.17 ID:ZIqgp1bU0

 私には高校生の兄がいる。

 名前はまだない。

 嘘、晶(あきら)って女の子みたいな名前。


 結論から言うと、私は晶の事をずっと片想いしている。


 彼の物語にとって、この結論は要らないかもしれない。だけど私の物語において、この事実はとても重要なのだ。



 ――新たな私の物語は三日前から始まる。

「はぁ、だりぃ。授業サボりてー」

 隣の席の藍子が股を広げて呟いた。彼女なりの私へのアピールなのだが、正直彼女のパンツを見た所で私は興奮しない。

「藍子、二人きりの時に、ね?」

「……おう///」

 私はこの学校では『お姫様』で通っている。最初は兄が好きである事を隠す為に女の子好きを演じていたのだが、いつの間にか本気にした子が私に告白してきたのだ。まぁ、彼女達も思春期で女の子しかいないこの学校で青春したいのだろう。私は何となくそれを受け入れていた。

「なぁ、前の席の島田、ずっと上を向いてね?」

 藍子が島田さんの背中をツンツンと刺した。不良の藍子にとって大人しい島田さんは遊び相手にちょうど良いのだろう。

「あぁ……うぅ……」

「え?」

 私と藍子は同時に首を傾げた。

 声のような空気漏れのような音が教室中から響き始めたからだ。

「な、何? どっきり?」

「……分からない。でも逃げた方が良さそう」

 幸い、私達は一番後ろの席だった。

 三十人近くの女子生徒が天井を向いて「あぁうぅ」と唸る光景はかなり異常だった。

「先生はどこに……?」


 がん。がん。がん。


 教師の三田村は入口にいた。

 彼もまた上を向いたまま、のろのろと入口にぶつかっている。

 あまりにも歪んだ光景に藍子は私の手を強く握った。

 私にとっても藍子にとっても「隣の席の子が健常である事」は幸運だった。

「行こう!」

 私達は一目散に廊下へと飛び出した。

 そこには――、


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