3:名無しNIPPER[saga]
2016/06/15(水) 00:44:18.81 ID:sf9XWsg90
大切なもの。
その言葉にチクリと胸が痛んだが、なんともなかったかのように涼しい顔をして見せた。
「寝に帰ってきてるだけなんて、ひどいです。私、いっつも待っていたのに」
「それに関しては、ほんとにすいません。結局あんまり楽しい思い出できませんでしたね」
「そんなことないですよ。ちょっと意地悪してみただけです。Pさんが忙しいの、私も知ってましたから」
もちろん、ただ意地悪したかっただけじゃない。でも、いまさら喚いてもしょうがないことをわざわざ改めて言いたくはなかった。
−−本当に、いまさら?
−−まだ、もしかしたら間に合うんじゃない?
心の中の汚い自分がささやく。
振り切るように、彼に意地悪を重ねた。
「でも、ここまで忙しくなって、揚句に『仕事をもっと頑張りたい』なんて言葉、正直聞きたくなかったですけど」
「いやー……自分でも、大学のころはこんな仕事人間になるとは思ってなくて」
「なんでしたっけ? 卒業の時の言葉。忘れちゃったんで、もう一度、言ってもらってもいいですか?」
「−−ごめんなさい。その言葉は、もう俺から美優さんにはいうことはできないです」
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