過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―4―
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953: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2016/12/24(土) 12:23:33.95 ID:S6YpyFGu0
 その初老の男は何から何まで赤いのだ。帽子も服も何から何まで赤い、こんな服で戦場を歩いていたら、すぐに的にされるのではないか思えるほどに真っ赤である。赤い甲冑ならば百歩譲る。しかしどう見ても布細工で戦う風貌にも思えない。背中に背負っている白い袋に武器があるのかと思ったが、清潔感溢れる着色が成されていて、とてもそういった武器の類が入っているようには見えなかった。
 ルーナはその絵を丹念に見た。だが、結果的に何もわからなかった。わからなければ質問する以外に道はないと顔を上げる。

「えっと、マークス様。これってなんなの?」
「ああ、その昔暗夜に存在していたというある集団の絵だ。話によると、毎年の年末にそのような格好をして街をうろついていたらしい。諸説にはこれを退治しようとした者たちもいたと聞く」

 もう一度その者たちを見る。
 年末、雪降る街を赤い服を着た謎の集団が闊歩する。考えただけでも恐ろしいことだ、これを退治しようとした者たちの意思、わからないわけでもなかった。
 しかし、それと呼び出されたことに何の関係があるのか、ルーナには皆目見当がつかない。まさかだと思うが、これの目撃情報があったのか。ノスフェラトゥを大量討伐している隙を突いて暗夜王国内にこんな奴らが現れた、そういうことなら非番の自身に声が掛かったのも頷ける。

「なるほどね、こういう格好してるやつを片っ端から捕まえろってことでしょ? あたしがすぐに全員捕まえてあげるんだから。それでそいつらは何処にいるの? 当然、大体の目星はついてるんでしょ?」

 ルーナは熱意に燃えていた。それもそうだろう、彼女にはやらなくてはいけないことがあるのだ、それを考えたらこんな仕事さっさと終わらせるに限る。それで済むものだと思っていた。
 だからである、一向にマークスが頷かないことに何やら嫌なものを感じた。

「あのー、マークス様」
「ルーナ、残念だがそういった仕事ではない。ルーナに来てもらったのは闘ってもらうためではないのだ」
「じゃあ、何のためにあたしは呼ばれたわけ?」

 ルーナの質問にマークスは一度下を見て、そしてゆっくりと顔を上げたのだった。


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