過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part4
1- 20
29:名無しNIPPER[sage]
2016/06/27(月) 22:46:43.13 ID:wPUn0rkTo
>>25 タイトル「後は分からないですごめんなさい」


『後は分からないですごめんなさい』

彼はか細い声でそう言った。
ひ弱そうに、同情心を湧かせるように、まるで弱った子羊のように。

「……もう一回言って?」

私は問い返す。
分からないとは何事か。
分からないのではなく、やる気がないのではないか。
言外にそういった意味を棘として含んだ言葉、その本意が彼に届いたのかどうかは分からないが。

『……ごめんなさい、後は分からないです』

――そういう意味ではない。鸚鵡返しをされても困るだけである。
そういった視線を受けても、それでも彼は分からないの一点張りである。
私は少しだけいらついた気持ちを抑えつつ、しかしどうにも我慢しきれず、少しだけ刺々しく――今度はその敵意を表に小さくちらつかせて言った。

「……そう。なら、いいわ。帰っていいわよ」

諦めにも似た言葉を吐き捨てるように言う。

彼は私に背を向けて、とぼとぼと向こうへと歩いてゆく。
私はため息をついて、彼の書いた『あらすじ』を読み返した。

最後にはやはり、『後は分からないですごめんなさい』との言葉。
後の展開を思いつかない、といった旨のものである。
もちろん、それも良い。表現技法の一種であることには違いない。

しかし、その手法に関わらず、どのような手法だとしても、多用すれば必ずくどくなる。
それを彼が理解しているのかどうかは分からない。
それでも彼は、こうしてその文言を最後に入れるのだ。

彼が振り返ろうとした瞬間、その顔が嘲るように小さく歪んで見えたのは、きっと気のせいではないのだろう。

私はなぜか無性に苛立って、彼の書いた『あらすじ』を地面に投げ捨てた。





<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/372.44 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice