14: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:12:59.36 ID:9fy5FiS10
「一つ、優希がしそうな行動がある」
――…わけでもないらしい。
「……何ですって? 染谷さん」
「言っただけじゃ。優希がしそうな事を、思いついたとな」
「教えてください」
「そうじゃな。じゃがその前に……えらい疲れて見えるぞ、二人とも。お茶でも飲んできんさい」
染谷さんは要領良く、机に茶碗を二つ置いた。
やはりこの人もこうなる事を予見していたのかもしれない。すでにお茶が湧いてるなんて……
「ごくっごくっ……御馳走様です、染谷さん」
「これで京太郎がわしの店に来るのも、最後になるかのう」
「たまには帰ってきますよ」
「どうだか」
けらけらと、染谷さんは笑った。正直笑い事じゃないが、表に出すのは堪えた。
「さて、こんな話をしとる場合じゃないな」
「染谷さん」
「優希がこういう行動に出た意味を、少し考えんといかん」
「考えてますよ、俺だって。でも何も……」
「優希はわれが大事なんじゃ。京太郎」
言ってのけた。
私も言えなかった事を、染谷さんは、易々と京ちゃんに言ってのけた。
「大事じゃけえ、馬を盗った。京太郎に、村を出て欲しくないからじゃ」
京ちゃんは、言葉に詰まったようだ。
薄々、気付いてはいたんだろう。それでも人に言われると、実感の程は違う。
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