17: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:17:41.86 ID:9fy5FiS10
京ちゃんの家に、それはあった。
馬の足跡。
優希ちゃんがここを訪れたのは、決定的だった。
京ちゃんが家から出て来た。その顔には手応えがあると書かれていた。
「枕許に、果たし状みたいに手紙が置いてあったよ。『暗闇に待つ』」
「それって……」
「ああ。『獣の洞窟』の事だろう」
「嘘……!!」
獣の洞窟。
村の外れにある洞窟で、中には怪物が棲んでいるという噂があるため、村人は誰も近寄らない場所だ。
勿論今回も、村人はそこを探せないだろう。
でも、優希ちゃんは、そんなところにいたら……!?
「優希が危ない。俺はすぐに向かう」
「うん!」
並ぼうとしたら、頭を手で押さえられた。むっ……
「咲は駄目だ!」
「どうして!」
「危ないからだ。未だにウサギも殺せないだろ」
「う……」
けれど、私も行かなくてはいけない。
その責任がある。たとえ、自分を曲げて生き物を殺す事になったとしても……
覚悟しなければならない。どの道、一生このままではいられないのだから。
「私も行く。戦えるよ。お稽古だって毎日やってるんだから」
「……ウサギや蛇の比じゃねえ。危険な戦いになるんだぞ」
「わかってる。だから、京ちゃんと優希ちゃんを置いていけない……!」
「……そうかよ」
京ちゃんは、笑った。
私の全てを包み込むような、笑顔だった。
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