19: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:19:34.84 ID:9fy5FiS10
京ちゃんは目を細めた。
短刀を握る私の手が、震えているのをその目で捉えていた。
毒牙蝙蝠が、私の頬をかすめて横切った。
足が竦み、動けなくなる。
毒牙蝙蝠が、私を咬もうと再度向かってきた。怖い。思わず目を瞑る……
衝撃が、やってこない。恐る恐る、目を開ける。
京ちゃんの手が、毒牙蝙蝠を掴んでいる事に気が付いた。
「ひっ……」
「安心しろ。こいつの殺傷能力は高くない。恐れるのはその名の通り毒のある牙だけだ。手のひらで掴めるサイズだし、一度掴めばゆるりと殺せる」
「……」
「殺せ、咲」
京ちゃんが、その手に握った毒牙蝙蝠を、私の眼前に差し出した。
気持ち悪い……怖い……でも、向き合わなければならない。
私は優希ちゃんの事を考えた。
優希ちゃんはこんな程度の生き物にいちいち怯えたりはしないだろう。
ならば当然私は、この生き物を殺さねばならない。
短刀を握る手は震えていた。それでも、構えた。
目を開けて、短刀を毒牙蝙蝠に突き刺した。一瞬、暴れた。けど、幾度か剣を捩じると、力尽きたようだ。
殺した……
「上出来だ、咲。これで俺がいなくなった後も安心だな」
「……ほんとに、そう、考えてる?」
「……ごめんな、咲」
「謝らないで、京ちゃん。来たがったのは私だから……先、進もう」
「……ああ。まだ蝙蝠はいるけど、相手にしていたらきりがない。向かってくる奴以外は、殺さなくていいからな」
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