2: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 05:59:58.32 ID:9fy5FiS10
青い空の下、緑の草の上で、ウサギが駆けていた。
前足を精一杯伸ばして駆ける姿は、何かから逃げているようにも見えた。
私はその姿を、惹きつけられたかのように見ていた。
一直線に駆けていたウサギが、進む方向を変えて、すぐ傍の木の陰に曲がる。
その直後、ウサギは死んだ。
石矢が、ウサギの胴体を貫通していた。
振り返ると、金髪の、小さな少年が、弓を降ろして息をついていた。
休んでいるように見えたのも束の間、すぐに少年は私の隣を横切って死体に駆け寄り、腐らないようにするための処理を始めた。
「……だれ」
思わず口をついてしまった。
かわいいと思ってたウサギが目の前で殺された事に、少し苛つきもあったのかもしれない。
けれどすぐ後悔した。こんな口をきいて、この金髪の兎殺しに、自分が何かされないだろうか、ひどい事されないだろうか。という不安で一杯だった。
少年は振り返り、私を見た。
けがれのない瞳だった。
「オマエがだれだよ?」
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