26: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:27:46.88 ID:9fy5FiS10
「京太郎を見つけると、いつも隣に咲ちゃんがいたじぇ」
「ま・仲良いですから」
「私が、隙をみて京太郎と話してるときも、すぐ嗅ぎつけて邪魔してくるし……」
「偶然でしょ」
「うそだ……」
図星だ。
優希ちゃんの指摘は、全てその通りだ。
私は確かに、京ちゃんを一人占めできるよう立ち回ってきた。
抗う事のできない運命の奔流に引き裂かれる、今日この日までは。
自分でもずるいと思ってる。
それでも許す事ができるだろうか? 自分の大切な人の目が、自分以外に向けられる事に。
京ちゃんの重しにはなりたくない。けれど、記憶の片隅にはこびり付いていたい。
それだけだ。私は小さな幸せを守ろうとしていただけ。
本音を言えば、優希ちゃんがトロトロしてるだけだ。その気になれば私を跳ね除けて自分が京ちゃんの隣に居座る事もできた。
修羅場を避けてきた結果、誰も彼もに迷惑をかける手段を取ってしまったのだ。それが私には許し難い。
優希ちゃんのような、大切な友人なら尚の事……
「……ごめんね」
「咲ちゃん?」
「ごめんね、優希ちゃん。私……」
私は、自分が涙を流している事に気が付いた。
優希ちゃんの優しさにつけこんで、優希ちゃんを跳ね除けてきた記憶が蘇ってきていた。
大切な友人にこんな事をさせたのは、私自身だ。
謝るべきは、私のほうだ……
「ごめんね……」
「咲ちゃん……咲ちゃんに謝られたら、私……」
この時、私たちはあまりにも呑気だったと言わざるを得ないだろう。
優希ちゃんを見つけ次第、無理やりにでも引っ張ってこの場を離れるべきだったのに。
感情のぶつけあいに我を忘れ、すぐ近くに怪物が眠っている事を失念していた。
怪物は、目を醒ましかけていたのに!
「咲!」
京ちゃんが、私の腕を強引に引っ張って自分の口から剥がした。
瞬間、気配を感じ取った。
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