8: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:05:13.15 ID:9fy5FiS10
京ちゃんの怒声。
しまった。
話の内容を頭に入れず、京ちゃんの目を見てぼーっとしてたのを見抜かれたかもしれない。
恥ずかしいというか、悔しい。京ちゃんの練習に真面目に付き合ってないみたいに思われそうで……
京ちゃんは厳しい目をした。思わず竦み上がってしまいそうな。
ど、どうしてそんな目で私を見るの? 京ちゃん……ご、ごめんね、謝るから。
京ちゃんは懐から短刀を取り出した。銀色の刃が太陽の日差しにあてられて鈍く光った。
そのままずかずかと、こっちに寄ってくる。
「京ちゃん……!? ご、ごめ……」
「咲、じっとしていろ!」
短刀が、私に向かって振り下ろされる。
言葉の通り、じっとしているほかなかった。目をぎゅっと瞑った。息が止まった。
……聞こえたのは、短刀が肉を貫通する音だった。
恐る恐る目を開ける。体に痛みは無い。
横を見ると、京ちゃんが短刀で蛇を突き殺していた。
「……京ちゃん」
「よし、仕留めた。ん? 咲、何だ、そのカオ?」
「京ちゃんに、殺されると思った……」
「は、はあ!? どうしてそんな考えになるんだ? まあいいや。メシだ」
「食べられるの? それ」
「よく見ろ。いつも食ってる奴だろ」
「……ホントだ」
ぐう。
私のお腹が、鳴った。
時が止まったように感じた。
京ちゃんの笑い声で、時が流れ出した。
「ひぃー、ひぃー……俺のブンも分けてやるから、安心しろよ。オ・ヒ・メ・サ・マ!」
うるさい。
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