過去ログ - 老将「…まぁ、座れや」
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33: ◆I3AdvwUiDU
2016/09/17(土) 05:02:11.94 ID:J/SbKH+M0
アイリス「なぁ、ライゼル…貴方にとって芸術って何?」

ライゼル「は…?」

アイリス「唐突で悪いけど、教えてくれ」

ライゼル「えらくいきなりだな…まぁ、構わんが…何故?」

アイリス「話せば長くなるが…聞いてくれる?」

ライゼル「………」

ライゼル「…まぁ、座れや」

アイリス「…それじゃ、失礼」

ライゼル「で……今、丁度暇してたところだ…その長話とやら、聞かせてくれ」

アイリス「あぁ……まずは何故芸術について聞いたのか、だけど…」

アイリス「私は武人故に、今まで自分が女であるのを意識しないようにしてきた」

アイリス「当然自分の中の女を抑え、女である事を否定して武人として生きてきたが…」

アイリス「そんな私には唯一、何もかも忘れられる時間があった…それが芸術だ」

ライゼル「……ほう」

アイリス「画家だった母は生前、まだ幼かった私に絵や音楽を教えてくれた」

アイリス「あるとき、そんな幼少期を思いだして母の作品や母と私で手掛けた作品を観ていたんだが……」

アイリス「そうしている内にまた作品を創りたくなって、気付けば駄作を量産していた」

ライゼル「………駄作ねぇ」

アイリス「でも、何かを描く事で抑えている内に解らなくなった自分の本心が滲み出てきて、私はそれを作品にぶつけた…」

アイリス「私はそんな、武と女の呪縛から解放される一時…ありのままでいられる時間に惹かれ、時間を見つけては作品に向かうようになったんだ」

ライゼル「……あぁ、だからここ一年ほど晩酌の相手をしてくれなくなったのか」

アイリス「すまん、私にとって大事な時間なんだ…」

ライゼル「そうか……」


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