過去ログ - 【グリモア】南智花「転校生さんが重体になった」
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7: ◆7SHIicilOU[saga]
2016/06/29(水) 13:07:39.33 ID:ex498O+xo

「さらにどーん!」

 魔力を補給してもらいながら好き放題手加減も
ペース配分もお構いなしでどかどか魔法を撃つのは
存外爽快な物らしく、目の前のみちるに限らず
敵の前であるにも関わらず始めてエミネムを聞いた中学二年生の様な
テンションの上がり方をしている。

 魔力は合っても実用性のある魔法をまともに放てない
自分には無縁なその状態の彼女達を見ると羨ましいやらなにやら。

 なんて、目の前のみちるのハイテンションに引っ張られたのかなんなのか。
ミスティックは四体であるという前情報と同じ数のミスティックを視認できる位置に居たからなのか。
とにかく油断してしまっていて、それの接近に気が付くことができなかった。

「……っ!?」

 ドンと、軽い衝撃。と言っても魔力で身体強化されてる身体。
生身で言うと金属バットで殴られた位に匹敵する衝撃が腰を襲い、
鈍い痛みが走る。

 振り返って、そこに居たのは小型のミスティック。
何故だ? タイコンデロガなど強い魔物が発生している時は、
周囲の霧はそちらに吸われて逆にその付近の霧濃度は低下する。
これくらいの小物なら吸われて消えている筈じゃ?

「え、ちょ……」

 原因も理由も不明。けどそれはいっそどうでもいい。
不意打ちで驚きはしたものの、所詮は驚きで終わる程度の力しかない小物。
魔法使いでもなくても苦も無く倒せるそいつを蹴り一つで蹴散らしたと同時、
みちるの声と共に、淡く草の生えた地面に膝を突く音。

 やってしまった。こいつに意識を持ってかれた所為で
魔力譲渡が遅れてしまったんだ。他の魔法使いならこの程度の遅れ
どうという事はないけれど、戦闘中の彼女にそれは致命的だ。

「―――!」

 咆哮をあげて今までの意趣返しとばかりにミスティックが
膝を突き息を荒げるみちるに向かい地面を抉りながら駆ける。
今から魔力を送っても立ち直るまでにミスティックの攻撃でみちるは死んでしまう。

『お前だけは死ぬな』
『自分の命を最優先に考えろ、お前が死んだら人類は負ける』

 以前言われた言葉が脳裏に過ぎった。
けど、そんなもの知ったことか。友人が自分のミスで
命の危機に晒されてるのを見捨てるなんてできるわけがない。

 がむしゃらに走る。間に合え、間に合えと。


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