11:名無しNIPPER
2016/06/29(水) 11:34:58.08 ID:i4J8B5po0
P「なぁまゆ。お腹空いてないか?何か売店で買ってこようか」
必死にいつも通りの自分を取り繕っているまゆが、あまりにも痛々しくてつい、そんな逃げる口実のような言葉が口から出てしまう。
まゆ「大丈夫ですよぉ?あ、でもPさんがお腹空いてるのでしたら、どうぞまゆに気を遣わずに」
P「いや、俺は大丈夫」
席を立つ理由が無くなり、ついでに言えばまゆにかける言葉すら見つからなくなってしまう。
会話が途切れてもまゆはニコニコといつも通りの温和な笑顔でこっちを見つめてくる。
それに対して俺は、そんなまゆをずっと直視している事が段々と辛くなってきてしまい…思わず視線を逸らしてしまった。
まゆ「Pさん」
まゆに呼ばれて再び視線が重なる。まゆの表情は相変わらず優しく微笑んでいるままだったが、不意にその瞳から一筋の涙が頬に流れた。
まゆ「ごめん、なさい」
零れる涙を隠すことも拭うこともせず、まゆは俺に対して謝罪の言葉を口にする。
まゆ「ごめんなさい……ごめんなさい…」
ポロポロと次第に堰を切ったようにあふれ出てくる涙にようやく両手で顔を覆い、まゆの謝罪はそのまま嗚咽へと変わっていった。
俺の前では常に笑顔でいたまゆの、初めて見る泣き顔、初めて聞く泣き声に猛烈な罪悪感と自己嫌悪に襲われる。
何をやってるんだ、俺は
一番辛いのはまゆ自身に決まってる
なのに俺は、健気に振る舞うまゆの笑顔と向き合うのが怖くて、逃げて、そして彼女に謝らせてしまった
P「…謝るのは俺のほうだ。…ごめんな」
まゆの鳴き声が、二人きりの病室に響く
P「ごめんな、まゆ」
俺はただ、まゆの隣で彼女が泣き止むのを待つ事しか出来なかった
40Res/17.28 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。