過去ログ - 剣闘士「あー……マジで試合出たくねえ」
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1:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:08:41.21 ID:SDGa6YJWo

吐いた。


今朝食べたパンどころか、昨晩食べた干し肉やサラダまでみごとにぶち撒けた。

試合直前になるといつもこうだ。



「あー……マジで試合出たくねえ」


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2:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:11:49.22 ID:SDGa6YJWo

俺はまもなく闘技場での試合を控えた剣闘士。


剣闘士というと皆さん、どんなものを想像するだろうか。
以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:16:07.11 ID:SDGa6YJWo

しかし、今の闘技場興業からはそういった血生臭さは極力排除されている。


剣闘士にはグレードの高い兜や鎧が支給され、剣は切れ味を落としたものが使われ、
以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:20:17.60 ID:SDGa6YJWo

それならば吐くほど緊張することもあるまい、と思う方もいるかもしれない。
めったに死ぬことはないんだから……と。

俺もそう思う。
以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:23:51.70 ID:SDGa6YJWo

それに、いかに切れ味を落とした剣とはいえ、攻撃されればやっぱり痛い。


いつだったか怪力の対戦相手から胴に一撃もらった時は、鎧を装着してたにもかかわらず、
以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:25:52.02 ID:SDGa6YJWo

というわけで、俺が戦いたくない理由は痛いほど分かってもらえただろう。


「あー……マジで試合出たくねえ」
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:29:51.04 ID:SDGa6YJWo

こういう時、俺は決まってなぜ自分が剣闘士になったかを振り返る。
初心に帰ることで、もしかしたら闘志が湧いてくるかもしれないからだ。


以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:33:44.31 ID:SDGa6YJWo

闘技場で働く人といえば、剣闘士、審判、実況、警備員、雑用スタッフなどが挙げられる。

俺は初めのうちは真っ先に剣闘士を候補から除外していたのだが、

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9:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:36:04.08 ID:SDGa6YJWo

自分がなぜ剣闘士になったかを思い返してみても、浮かぶのは後悔の念ばかり。
これじゃダメだ。


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10:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:40:25.63 ID:SDGa6YJWo

俺が贔屓にしていた剣闘士は、300戦以上試合をして無敗という、まさに英雄だった。


あの人の戦い方を一言で評するなら、勇猛果敢。
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11:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:45:37.90 ID:SDGa6YJWo

恐怖で体が震える。冷や汗がじわじわにじみ出る。手足がますます重くなる。

そうこうしているうちに、スタッフが俺のもとへやってきた。

以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:48:51.85 ID:SDGa6YJWo

剣闘士が体調不良を理由に、試合を直前で棄権するケースは年に何度か発生する。

大昔の見世物興業だった頃はこんなこと認められなかっただろうが、今は認められている。
不調な者を無理に戦わせる方が残酷だ、という風潮が広がっているためだ。
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13:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:52:44.28 ID:SDGa6YJWo

「おや? 体が震えていますが、どこか具合が悪いのでは……」

「これかい? 武者震いだよ、いつものことさ」

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14:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 21:56:40.10 ID:SDGa6YJWo

俺は仮病作戦を断念し、しぶしぶ準備を開始する。


青い鎧、青い兜、青いレガースなどをため息をつきながら装着していく。
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15:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 22:02:46.79 ID:SDGa6YJWo

ちなみになぜ全て青色なのかというと、あれはまだ俺が剣闘士になりたての頃、
防具をどれにするか悩んでいると、
(剣闘士の武具は公正を期すため、全て闘技場からの支給品を身につける決まりになっているが、
 どういうファッションにするかは支給品の中から剣闘士自身で選択できる)
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 22:05:54.45 ID:SDGa6YJWo

防具を付け終われば、あとはもう出陣するしかない。

支給品の剣を握り締め、試合場に続く通路を一歩一歩進んでいく。

以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 22:08:41.33 ID:SDGa6YJWo

「がんばってくださいっ!」



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18:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 22:12:56.84 ID:SDGa6YJWo

この子の熱い眼差し、かつての俺にそっくりだ。

闘技場が大好きで、剣闘士や闘技場で働く人たちに憧れてた頃の俺に……。

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19:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 22:17:00.37 ID:SDGa6YJWo

スタッフが飛んできた。


「コラッ、どこから入り込んだんだ! ここは関係者以外立ち入り禁止だってのに!
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 22:20:25.70 ID:SDGa6YJWo

試合場の方角から歓声が聞こえる。

吐き気や震えは、もう止まっている。

以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2016/06/29(水) 22:25:08.37 ID:SDGa6YJWo

ある大きな闘技場で、まもなく試合が始まろうとしている。

これから試合を行う二人の剣闘士のうち、すでに一人は入場している。
屈強な外見をしているが、その表情には明らかに過度の緊張と興奮が漂っている。
以下略



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