17:名無しNIPPER[saga]
2016/06/30(木) 23:34:02.21 ID:4Q6l07Joo
「大変そうだね手伝おうか?」
野菜の入った箱を運ぶ彼を見て少女が言った。
だっと近寄ってくるけれど、彼はしっしと追い払う。
18:名無しNIPPER[saga]
2016/06/30(木) 23:34:28.51 ID:4Q6l07Joo
「いいと思ったのになー」
帰り道を歩きながら彼女はぼやいた。
彼は黙って歩き続ける。
19:名無しNIPPER[saga]
2016/06/30(木) 23:35:01.29 ID:4Q6l07Joo
「隣の隣の村が大変らしいね」
ある日の木陰の下から少女が言った。
彼は返事をしないので、彼女は一人でしゃべり続ける。
20:名無しNIPPER[saga]
2016/06/30(木) 23:35:28.35 ID:4Q6l07Joo
「……村長はなんて言ってる?」
「すごく怖い顔してるよ。怒りんぼさんそっくりな顔」
眉間にしわを寄せる顔真似をする。
21:名無しNIPPER[saga]
2016/06/30(木) 23:36:05.65 ID:4Q6l07Joo
彼はその笑顔を見ながらふと訊ねた。
「お前はなんでいつも笑ってるんだ」
「え?」
22:名無しNIPPER[saga]
2016/06/30(木) 23:36:31.97 ID:4Q6l07Joo
「俺がなぜ怒ってるかって?」
彼は途端に声を荒げた。
23:名無しNIPPER[saga]
2016/06/30(木) 23:37:07.05 ID:4Q6l07Joo
彼は手に持った草刈鎌を振り上げる。
「俺がどんなに頑張ってもサーガルの野郎に収穫量では勝てやしない。俺がどんなに頑張ってもウィマスの野郎に作物の質では勝てやしない。これが理不尽でなくて何なんだ」
「へえー」
24:名無しNIPPER[saga]
2016/06/30(木) 23:37:33.36 ID:4Q6l07Joo
彼女はやっぱり愉快そうな顔してた。
「ひみつ!」
「おい!」
25:名無しNIPPER[saga]
2016/06/30(木) 23:37:59.54 ID:4Q6l07Joo
ある朝外に出たところ、誰かが彼を呼んでいた。
「怒りんぼさーん! こっちこっちー!」
26:名無しNIPPER[saga]
2016/06/30(木) 23:38:25.58 ID:4Q6l07Joo
朝の支度をしている最中、窓から覗くとまだ彼女は屋根にいた。
またしばらくしてから見てもそこにいた。
三度目の確認後、彼はようやく外に出た。
27:名無しNIPPER[saga]
2016/06/30(木) 23:39:05.39 ID:4Q6l07Joo
梯子を戻してやっても彼女はなぜか下りてこなかった。
「腰が抜けちゃって……」
64Res/22.22 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。