過去ログ - 速水奏「The Dark Side of the Moon」
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22:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:47:59.53 ID:kj4bVlfs0
「でも…」


彼女は続ける



「でも…私は……負けられませんでした」



細く、繊細で、それでいてハッキリとした声で彼女は語った。



「もし私がその気持ちに流されたら…誰が喜ぶのか…誰が悲しむのか……そう考えたら…前を向くしかありませんでした。それが私があ…愛した人へのせめてもの手向けではないか…と」


彼女の目線は下げたまま、その輝きだけが上がっていく。



「私は弱い女です…でも、だからこそ…私の弱さで誰かを傷つける事はできないと…そう思いました……だから私はあの人の傍で、あの人と共に、あの人が…愛されてよかったと思えるようにと…今日まで来たんです」



文香はグラスに半分残ったワインを全て飲み干し、最後にこういった。



「だから、心から祝おうと思うんです。私に輝きをくれたあの人を。それが…私の告白であり仕返しです」



彼女は言い切った。強く強くハッキリと。



「ぅ…申し訳ありません……お酒の勢いで何か途轍もない事を口走った気がします……忘れてください…こんな……………奏さん?」



文香が怪訝な顔で私を見る。

徐々にその顔は焦りとも不安とも取れないような色に変わり、心配そうにこう語りかける。



「泣いて…いるのですか…?」


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