過去ログ - 開かない扉の前で
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15:名無しNIPPER[saga]
2016/07/04(月) 00:29:05.81 ID:BFmKl9Djo

 学校の敷地内を、ぼんやりと見下ろす。

 下校しようとしている生徒たちの姿が見える。階下から吹奏楽部の音階練習、剣道部が外周を走っている。
 武道場から畳を打つような音、体育館からバスケットボールの跳ねる音。

 みんな頭をからっぽにして打ち込んでいるんだろう。それがどうしてわたしにはこんなに平坦なんだろう。

「セロトニンの不足だよ」とケイくんが言った。

「なにが?」

「そういうことを考えるのは、脳内物質の問題らしいよ」

「……」

「頭のなかが不調だと、気分が落ち込んで、感情がわかなくなって、幸福が感じ取りにくくなって、だからつまんないことを考えるんだってさ」

「へえ」

「解消する方法を知ってるよ」

「どんなの?」

「日光を浴びること、適度な運動、栄養バランスのとれた食事」

 ケイくんは皮肉っぽく笑った。




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