過去ログ - 開かない扉の前で
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35:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:40:57.50 ID:b+Qvcd5ho

 ケイくんとふたりきりで出かけるのは、この日が初めてだった。
 
 というよりは、屋上以外の空間で彼と会うのも、初めてだという気がする。
 
 たまに廊下ですれ違うことがあったけど、わたしも彼も互いに話しかけなかった。
 それは暗黙の了解のようなものだ。

 自分には、誰にも知られていない"誰か"がいる、という事実が、わたしの心をいつも少しだけ強くしてくれる。

 そのケイくんは、寂れた木造のバス停留所に降り立った途端、
 似合うはずがないのに似合っている爽やかな青いシャツに身を包んだまま、いつものように溜め息をついた。

 初めて男の子と出かけるんだからと、ちょっとだけその気になって、
 あざといくらいにフェミニンなワンピースを着てみたりもしたんだけど(おろしたてである)、
 案の定ケイくんは無反応だった。まあ、過剰反応されたらこっちがびっくりしていたところだけど。

 毛先だってちょっと巻いてきたのに。
 位置上目で留めるの、ちょっとむずかしかったのに。




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