39:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:45:41.13 ID:b+Qvcd5ho
「ケイくん……?」
もう一度声を掛けたとき、彼はふたたび歩きはじめた。
返事もしてくれない彼の背中を、わたしは何も言えずに追いかける。
そんなに怒らせちゃったのかな、と、また不安になる。
どうしてだろう。
他の人相手だと、あんまりこういうことにはならないんだけど。
ケイくんは、なんとなく、わたしが何をしても、いつもへらへらバカにして、それでも普段通りに振る舞ってくれるような気がして。
だから、やり過ぎてしまうのかもしれない。
坂道を昇るケイくんの歩調ははやい。わたしの方を振り返りすらしなかった。
ようやく立ち止まったのは坂を登り切ったときで、そのときも彼は前を向いていた。
わたしは彼の背中しか見ていなかった。だから、気付くのが遅れた。
「ケイく……」
言いかけたとき、わたしはケイくんの肩越しに、古い観覧車を見た。
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