過去ログ - 開かない扉の前で
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55:名無しNIPPER[saga]
2016/07/07(木) 01:02:58.15 ID:btuqrQDio

「……ねえ、ケイくん、ミラーハウスって、迷路だよね?」

「まあ、そういう場合が多いだろうな」

「どうしてこんなに、簡単に入れちゃったんだろう?」

「……ていうと?」

「建物をそのままにしておくにしても、こんなふうに鍵もかけずに開け放しておくことってある?
 万が一子供が忍びこんだりしたら、出られなくなるかもしれないよね?」

「……なあ、俺たち、どのくらい歩いたっけ?」

「ほんのすこしだと思うけど?」

「……どこから来た?」

 ケイくんの言葉に、わたしは、来た(と思われる)方を見て、通路を探してみる。
 でも、見つからない。
 
 まっすぐ歩いてきたんだから、背中には来た道があるはずなのに、振り向いた先には鏡がない。
 そうこうしているうちにわたしはくるくると回ってしまって、どっちが前なのか、後ろなのか、分からなくなってきた。

 そうしている間、ケイくんは黙って動かずにいた。だからわたしは、かろうじて方向感覚を失わずにいられた。
 やはり、うしろには鏡しかなく、前にしか道がなかった。

 わたしは急に不安になる。




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