過去ログ - 開かない扉の前で
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809:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:50:08.64 ID:IXxsBwaSo




 白い光が見えた気がした。
 
 白い光が瞼の向こうに見えた気がした。

 白い光が瞼の向こうの遠く先に見えた気がした。

 あまりにまぶしくて、目をひらくことができなかった。

 その光がおさまって、ようやくわたしがわたしの体を認識できるようになった頃、手のひらはからっぽになっていた。

 ふと気付けば、わたしは真っ白な景色の中に立っていた。

 わたしは、さっきまでケイくんがいたはずの場所をたしかめた。

 そこにはもう、ただ真っ白な空白があるだけだ。

「ケイくん」、と、彼の名前を呼んでみたけれど、返事はない。姿すらないのだから、当たり前かもしれない。

 手を繋いでいたのに。




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