過去ログ - 開かない扉の前で
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821:名無しNIPPER[saga]
2017/10/30(月) 00:33:44.74 ID:J5LgB8ivo

 中身をすべて床の上に吐き出させると、本棚はようやくわたしの腕でも動かせるくらいになった。
 
 ずらすように横に押すと、やはり、そこには扉が隠されていた。

 今度は、見たことのない扉だった。

 少なくとも、お母さんの部屋に通じていたものではない。

 この空間では、お母さんとお兄ちゃんの部屋はつながっていない。
 そこに意味を感じ取るのも、やはり解釈妄想と呼ばれるべきだろうか。

 確かめるしかなかった。

 本当は泣きたいくらいに怖かった。
 ずっと心細かった。

 何にも分からない、わたしはもうなにも知りたくない。

 それでも、目の前の扉を開けるしかない。

 他にどこにも行けない。

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