過去ログ - 開かない扉の前で
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852:名無しNIPPER[saga]
2017/11/04(土) 23:58:18.67 ID:rBhi7b25o

「……な、なんで急に」

「ん」

「なんで、急に、そんなこと言うの?」

 彼は、開き直ったみたいな、すねたみたいな顔をした。

「言わなきゃ、分かんないだろ。ここまで言わないと、おまえはずっと俺のことなんて信じないだろ? ここまで言ったって、きっとまだ信じきれないだろ?
 だったら、おまえが信じるまで言うしかないだろ。それとも、なあ……やっぱり俺なんかの言葉じゃダメかな」

 わたしは、うまく返事さえできずに、うつむいた。

 これは、幻じゃないのかな。

 都合のいいだけの、幻じゃないのかな。

 わたしはただ夢を見ているだけで、まだ暗闇に横たえていて、そこに妄想を浮かべているだけじゃないのかな。

「ケイ、くん……」

「なあ、叔父さんがおまえを恨んでたかもって、おまえがいなければ幸せだったかもって、そんなこと、本気で思うか?」

「……」

「俺は、おまえと叔父さんがどんなふうに過ごしたか、知らない。知らないから、無責任な言い草になると思う。
 でも、思い出せる限り、思い出してみろよ。おまえと過ごした叔父さんは、どんな顔をしてた?
 楽しそうじゃなかったか? おまえをどんな目で見てた? おまえを憎んでたと思うか?」

「……」

「前も似たようなことを言ったっけな。でもさ、結局、そういう問題なんだと思う。俺が今言った言葉だって、きっとそうだよ。
 ――おまえが、それを信じるか、信じないか、それだけのことなんだよ」 




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