過去ログ - 開かない扉の前で
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885:名無しNIPPER[saga]
2017/11/15(水) 23:51:25.50 ID:lNunJpruo

 いつのまにか空になったグラスにあさひがワインを注いでくれた。僕はそれに口をつける。

 僕は、僕自身が生き延びるために、生きていていいんだと信じたいがために、愛奈を利用した。
 
 そうすることで許されようとした。
 
 僕は愛奈がいることでしか許されないと思っていた。
 けれど――この世界には、愛奈がいない。

 愛奈がいない世界で、碓氷遼一は許されている。
 あるいは、自分自身を許している。

 居て当たり前の存在のように、受け入れられるのが当然のような顔で、
 生見小夜と街を歩き、
 穂海と手を繋ぎ、
 平然と笑い、
 当たり前に歩き、
 あさひを気味悪がる。

 僕と同じ怪物の卵なのに。
 愛奈がいないと生きていることにさえ自信を持てないのに。

 どうして碓氷遼一は笑っていられた?
 そんなことが――許されるのか?

"Non omne quod licet honestum est."




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