917:名無しNIPPER[saga]
2017/11/24(金) 00:58:18.23 ID:pmjGcbbto
◇
「つまらない、ね」
ざくろは、そう言った。
「わたしはもういくけど、あなたは?」
僕は答えない。
僕は階段を昇る。
そして、ざくろを通り過ぎ、窓の傍へと歩み寄る。
見下ろす街は、以前と変わらない。
でも、この街は、僕の知っている街ではない。
よく似ているけれど、違う。
この街に愛奈はいない、この街は愛奈を知らない。
「ねえ、聴こえてるの?」
ざくろの声が、今は、耳障りだ。
「ねえ、人を刺すって、どんな気持ちだった?」
ざくろの声が、今は……。
「そんなふうになっても、生きていたいものなの?」
今は……。
「……うるさいな」
僕は、うしろを振り返らずに、そうとだけ言った。彼女はおかしそうにケタケタと笑う。
992Res/853.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。