過去ログ - 開かない扉の前で
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933:名無しNIPPER[saga]
2017/11/26(日) 23:25:32.79 ID:L2HTNNmfo

 前方に高い石段があり、その上に木製の古い椅子が置かれている。誰かがそれに腰掛けている。

 あたりを見回すと、四方もまた同様だった。石段があり、誰かが腰掛けている。

 みんな仮面をつけていた。

 正面の誰かが言った。

「きみは死ぬ」

 それは僕の声に似ていた。

「逃れようもなく死ぬ。何もできないまま死ぬ」

「きみは人を傷つけた」

「もう戻れない」

「許されない」

「きみはきみが許さなかった人と同じことをした」

「もう許されない」

「誰一人きみを受け入れようとはしない」

 彼らは僕を見下ろしてる。

 彼ら、あるいは、それは僕だ。
 彼らが口にした言葉は僕が僕に告げ続けた審判だ。

 僕がさっきまで立っていた場所がそこだ。




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