過去ログ - 開かない扉の前で
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945:名無しNIPPER[saga]
2017/11/28(火) 01:13:50.47 ID:OSRTiBSYo

 一台目の車が通り過ぎる。
 世界が音を取り戻し、時間が当たり前に流れる。

"これから起きること"。

"突き飛ばそうとしている"。

"死ぬ地点"。

 突き飛ばされることで、碓氷遼一は死ぬ、ということか。

 それは、つまり、突き飛ばされなければ、碓氷遼一は死なないかもしれない、ということか。

 向こうにいる碓氷遼一は、それを眺めている。
 信号は赤だ。
 彼はそうすることしかできない位置に放り込まれた。

 俺は?

 俺は、俺は……こちらにいる。手の届く距離にいる。

 だとすれば。

 俺がここで、"何かを"すれば、碓氷遼一は死なない。

"あなたには選択権が与えられる"とざくろは言った。

 信号はまだ赤のままだ。




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