過去ログ - 開かない扉の前で
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957:名無しNIPPER[saga]
2017/12/06(水) 01:29:57.74 ID:IzyndCNto

 僕はここに至るまでの道筋を思い出そうとする。

 始まり。すみれに誘われて黒いドラッグスターに乗って街を駆け抜けたときのこと。
 碓氷遼一と生見小夜の姿を見たあのときのこと。
 篠目あさひの夢の話を聞かされて、あっさりと信じたときのこと。
 碓氷遼一と顔を合わせたときのこと。
 沢村翔太と話をしたときのこと。
 碓氷遼一を刺したときのこと。

 すみれ。

 すみれは、どこに行ってしまったんだろう。
 
 心の底から笑える場所が、きっとどこかにあるはずだと、僕を誘った女の子。

 でも、僕にはもう分かっていた。

 自分で自分を肯定できないなら、どこにいっても幸福になれはしないだろう。
 どこにいっても、心の底から笑えやしないだろう。

 そして今、僕は僕自身を肯定できない。

 心の底から笑うことなんて、できやしない。
 幸せになんて、なれやしない。

 でも、もうそんな段階じゃない。




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