978:名無しNIPPER[saga]
2017/12/11(月) 00:55:27.45 ID:S5mn3zpLo
◇
ケイくんのいないままの高校で、文化祭が開催された。
どこにも行き場もないまま、わたしはあちこちをうろうろしたり、校舎裏で本を読んだりして過ごした。
たまにクラスメイトに話しかけられたりもしたけど、何かを手伝えとか、そんなことも言われなかった。
べつに仲が悪いわけでもない、苦手なわけでもない、ただひどく疲れていたし、
わたしが顔を出して楽しい顔をするのは、果実だけを横取りするようで憚られた。
それに、楽しい顔なんてできそうにもなかった。水を差すくらいなら、誰にも見咎められないところにいた方がいい。
校舎裏の古い切り株に腰かけたまま、ページをめくる手がふと止まった。
風が肌を撫でていった。
わたしは思う。
苦しかったのだろうか?
つらかったのだろうか?
悲しかったのだろうか?
寂しかったのだろうか?
こっそりとお兄ちゃんの部屋から持ち出した本。
紙面に目が止まる。
"かたわらにいないと
あなたはもうこの世にいないかのようだ
窓から見えてる空がさびしい
ひろげたまんまの朝刊の見出しがさびしい"
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