過去ログ - 開かない扉の前で
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984:名無しNIPPER[saga]
2017/12/11(月) 00:58:49.17 ID:S5mn3zpLo

「ね……」

「ん」

「帰ってきてくれて、よかった」

「……」

「ホントは、不安だった。心配、してた。だって、だってさ」

 さっきから、高ぶっていた気持ちをどうにか押さえ込んで、ようやく落ち着いてくれたと思ったのに、
 だからもう、振り向いても平気だと思ったのに、また、だめになりそうだ。

 それでも、もう、振り向こうと思った。
 彼の顔が見たくなった。

「ケイくんがいないと、困るよ、わたし」

 彼は、わたしが振り向いた気配を感じたのだろうか、肩越しに少しだけ首をかしげて、わたしと目を合わせて、笑った。

 ケイくんは、何気ないふうを装ってみせた。

「そうかい」

 その照れ隠しが、ひどく懐かしい。

「言ってくれた言葉、無効になったりしないよね?」

「……どれのことだ?」

「全部」

「……ま、そうだな」

「ね、だったら、わたし、ケイくんと一緒にいてもいいかな」

「……」

「だって、ケイくん言ってたもんね。わたしがいなきゃ、困るんだって」

「……そんなこと、言ったっけか?」

「言ったもん」

「……言ったな」

「だよね」



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