986:名無しNIPPER[saga]
2017/12/11(月) 01:17:31.85 ID:S5mn3zpLo
空は晴れやかに澄みわたっている。
わたしたちは自分たちの身の回りに起きたことなんてひとつも変えられないままだった。
彼の話だとあの追いかけっこは終わっていないらしい。きっとまだ、彼女が彼女を追いかけている。
あの扉をくぐって、何度も何度も繰り返しているのだろう。
たどり着けるかも分からない場所を目指し続けている。
それをどうするべきなのか、どう思うべきなのか、わたしにはわからない。
過去は変えられないし、開けられない扉は開けられないままだ。
今となっては、お兄ちゃんの真意なんて、鍵のかかった扉の向こうにしまい込まれている。
わたしはやっぱり、その扉を潜り抜けることができない。
でも、その向こうが、悲しみや寂しさだけではなかったはずだと、今のわたしは、信じることができる。
それだけではなかったはずだと、思い出すことができる。
そして今は、彼が傍にいてくれていて、それを許してくれていて、
だからもう、足りないものなんてひとつもないような気がしている。
わたしは心の中だけで誰かにごめんなさいを言った。その意味は、きっと誰にもわからないし、わたしにも本当はよくわかっていない。
でも、ごめんなさいを言った。
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