過去ログ - 北上「離さない」
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182: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:43:31.54 ID:GKWtytdi0

「どこ行ってたのさー、探したよー。」
「ああ、ちょっと違う所見てたんで。」
「そういう事するとモテないよー?」
「はは、すいません……北上さん。」
以下略



183: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:45:19.61 ID:GKWtytdi0


「はい、おしまい!」
「北上さん、私からもありがとうございます…その時のままだったら、私も多分一緒に働けてないです。
…でも、そうなっちゃうぐらい本当にショックだったんでしょうね、あの件……。」
以下略



184: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:46:51.12 ID:GKWtytdi0

そのまま消灯の後も眠れなくて、アタシはお気に入りの音楽を聴く事にした。
イヤホンからは少し枯れた声が流れて、その度に、アタシの中ではとある時期の事が蘇る。


以下略



185: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:47:40.97 ID:GKWtytdi0

ケイちゃんに再会した時、夢でも見てるのかと思った。

普通なら、大人になれば顔だって忘れてる歳だ。
だけどその頃の写真を大事に持ってたアタシには、すぐにケイちゃんだって分かった。
以下略



186: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:49:08.83 ID:GKWtytdi0

“初めまして!自分は整備士の笠木ケイタロウと申します!北上殿、何卒よろしくお願い申し上げます!”


ケイちゃんは、アタシの事に気付いてはくれなかった。
以下略



187: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:51:51.21 ID:GKWtytdi0

家族も親戚も友達も、みんな死んだ。
アタシは、名実共にひとりぼっちになった。

アタシの大切なものは。
以下略



188: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:55:07.68 ID:GKWtytdi0

だけどアタシは、再び出会ってしまった。
大きくなった彼に、恋をしてしまった。

そして封じ込めたはずの『ユウ』は、アタシの中で暴れだす。
以下略



189: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:57:10.71 ID:GKWtytdi0

でも、ベスパを直してもらったあの夜。
アタシは遂に、なけなしの勇気を出して訊いたんだ。

どうしてこの仕事に就いたのか?って……
以下略



190: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:59:17.39 ID:GKWtytdi0

それでも気付いてはもらえなかった。

当たり前だ。
彼の中では死んだ事になっている。
以下略



191: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 05:00:30.47 ID:GKWtytdi0

ケイちゃんをこんな道に引きずり込んだのは、アタシだ。

じゃあ、責任は取らなくちゃ。
彼を幸せにしなくちゃ。
以下略



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